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月刊スポーツメディスン最新刊紹介
月刊スポーツメディスンNo.210(2019年5・6月合併号)←詳細&購入はここ!
210表紙
『特集 セラピストの手の使い方」
── 治療技術の向上のために
 
1.「肩関節疾患を診るうえでのセラピストの手の使い方」
勝木秀治・関東労災病院 中央リハビリテーション部理学療法士、専門理学療法士(運動器)東海大学医学部 基礎医学系生体構造機能学領域
 
2.「体幹、下肢のスポーツ障害への運動療法で大事なセラピストの手の使い方」
園部俊晴・コンディショニング・ラボ(インソールとからだコンディショニング専門院)
理学療法士、運動と医学の出版社代表取締役社長

3.「臨床動作促通法の紹介」──正しい動作に誘導するために
鈴木俊明・関西医療大学大学院 保健医療学研究科
 

オルゴールには思い出がある人は少なくないだろう。今月11月は、そのオルゴールにまつわる話と、オルゴールで知られるスイスの家庭料理2つを紹介していただきます。

オルゴール(文・料理/大仁浩子・もも家店主)

イラスト6 三宮の街には秋の陽が射していたが、六甲の山道にさしかかり、3回目の大きなヘアピンカーブを曲がる頃、突然ワイパーがきかないほどの激しい雨になった。思い出に招かれるように、私はハンドルを握っている。

 タクヤが私の前に現れたのもこんな雨の日。季節はずれの台風が神戸を通過し、果てしなく雨が降り続く月曜日だった。

 神戸支社は、液化ガスLNGを気化する機械設備を開発し、欧州向けに輸出を始めようとしていた。タクヤはそのプロジェクトチームに本社から呼ばれ、私は英語力を買われ、チームに加わった。「タクヤと申します。正直、新しい仕事に不安50%、ヤル気は100%でまいりました。初めての関西です。よろしくお願いします」。体側にピタリと手をつけ、長身のからだを深々と折る。ニッコリ笑うと、白い歯がこぼれ、それは五月の風のように、暗い雨と社内の空気を変えた。

 タクヤは若さしか武器がない、とでもいうように、猛烈に動いた。欧州との時差は8時間。現地のデイタイムと合わせるために二人で深夜まで働いた。セキュリティのかかったくらいビルの長い廊下を何度帰ったことか。「姉上、大丈夫ですか」、タクヤは私の手をとってそう言う。私達は同志。

 タクヤは10歳年長の私を姉上と恭しく呼び、そして、手加減なく自分と同じ量の仕事をさせた。疲れきった頭に三宮の夜風はやさしい。痛む足を引きずって、深夜まで開いている中華料理店のカウンターに辿り着く。それが、いつからともなく二人の決まりになった。

「姉上、お疲れ様でした。ご苦労かけて申し訳ありません。僕に、もうしばらく力を貸してください」。ビールを注ぎながらタクヤは毎回そう言った。そして私は「弟よ。ええ加減に仕事と睡眠のバランス、考えへんかったら、からだこわしますわ。私、仕事と心中したないし」と、答えてしまう。本当は心中してもええ、と思っていた。

 タクヤは塌菜(ターサイ)の青菜炒めを必ず注文した。「姉上、青野菜をしっかり食べてください。おからだのためです」と、小皿にとって寄こし、私が口に運ぶのを見届けてから、自分のをよそう。「神戸は中華も薄味で最高です」と、心から満足して食べた。タクヤの食欲とその笑顔が、そして、その若さが眩しかった。

 1年後、欧州の受注と納品が終了。全社挙げてのすばらしい仕事だった。その視察と、ご褒美休暇をもらってタクヤが欧州に向かったのは間もなくのこと。1週間経って、タクヤは山ほどのチョコレートと共に帰国した。ベルギー、スイス、フランスの美しいチョコBOXがチームへのお土産。

 そして、姉上にと、四角い箱を手渡してくれた。「アハハ、まさか、チョコではありませんよ」。それは、小さなスイス製のオルゴール。箱には木工細工の繊細なバラが象嵌されている。そっと開くと「アマリリス」の曲(メロディー)が流れてきた。

「たくさんの曲の中で唯一知っていたのがこの曲。小学校のとき、リコーダーで練習していました。ソラソド、ソラソ……、覚えていましたよ。何年経っても」、それから「東京の彼女にも同じものを買いました。彼女がこれを聞く度に、僕は姉上へのご恩を思い出します」と言った。

 山荘風のミュージアムは霧の中。百年前のオルゴールの音は一瞬にして外国の物語世界へ、手風琴が流れる街角へ私を誘い出す。古い舞踏曲がひそやかに聞こえてくる。ガリアルドやパヴァーヌやメイポールダンスの曲。人々のざわめきや衣ずれの音さえも。幻のように。

 けれど、「アマリリス」の曲(メロディー)が流れてこない。――みんなで聞こう。たのしいオルゴールを。ラリラリ、ラリラ、しらべはアマリリス――。

 アマリリスの曲は、今も小さな箱の中で陽気に歌う。いつも、みんなで聞こう、と歌う。みんなはどこへ行ったのだろう。私は、今では一人でアマリリスを聞く。プロジェクトチームは解散し、タクヤも東京に帰っていった。

*オルゴールミュージアム「ホール・オブ・ホールズ六甲」
住所:神戸市灘区六甲山町北六甲4512-145
交通:三宮から表六甲ドライブウェイを経て30分。あるいは、JR六甲道より市バス、六甲ケーブル、山上循環バスを利用して約45分

六甲山の緑に囲まれて、百年前のアンティークオルゴールやスイス、リュージュ社のオルゴールの音色が心に響きます。



「もも家」のフードレシピ
■オルゴールの国、スイスの家庭料理

イラスト-05  スイス風子牛のクリーム煮、ゲシュネッツェルテス(Geschnetzeltesと書くようです)と代表的なじゃが芋料理、レシュティ(またはロスティ)、ドイツ語表示するとRosti(oの上にウムラートがつく)。

 何しろ、スイスはドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つが公用語。1つの料理にさまざまな発音があり、とても一口に言い表せないと、ジュネーブに住む妹が申します。

 とりあえず、ゲシュネッツェルテス、クリーム煮から。(イラスト/横江節子・神戸市垂水区在住)





jumee☆recipe1Ljumee☆recipe1R材料(3~4人前)
牛肉・薄切り  300g
エリンギ    100g
しめじ 1/2パック 約70g
生椎茸 大4枚
玉ネギ 1個
マッシュルーム 小缶(ホール)1個
牛乳 150cc
生クリーム 100cc
小麦粉 大1
バター 大1
ニンニク 1片
白ワイン 100cc

jumee☆cooking1Ljumee☆cooking1R作り方
イラスト-01①牛肉の薄切りをお皿に広げ、塩・こしょうし、オリーブ油を小1ふりかけ、マリネしておく。

②冷たいフライパンにニンニクの薄切りを入れ、サラダ油大1を入れ、ゆっくり炒めて香りを出す。牛肉を1枚ずつ広げて焼きつけ、取り出しておく。

③エリンギ、しめじ、生椎茸は大きく切り分けておく。牛肉を炒めたあとのフライパンで炒めておく。



④玉ネギは4つ割にして、繊維を断ち切るように薄切りにしておく。
 鍋にバター大1を入れ、香りが出てしんなりするまで炒め、小麦粉大1を振り入れ、粉気がなくなるまでよく炒める。その中に炒めておいた牛肉、キノコ類を入れ、牛乳150cc、白ワイン100cc、マッシュルームの小缶を汁ごと入れ、静かに10分煮る。イラスト-02

⑤最後に生クリーム100ccを加え、塩・こしょうして味をととのえる。

とてもシンプルなクリーム煮です。もし、余分に作られましたら、翌日スパゲティとからめてお召し上がりください。

 それではロシュティを
同じ料理をフランスではガレットというそうです。

jumee☆recipe1Ljumee☆recipe1R材料
メークイン 大3個(1人1個)
とけるチーズ 大3枚
片栗粉 大さじ山盛り1
塩・こしょう

jumee☆cooking1Ljumee☆cooking1R作り方
イラスト-03①メークインは皮をむき、水にさらさず、すぐカッター(おろし金のような形で、野菜をささがきにする道具)でおろします。カッターがないときは、マッチ棒くらいの長さと太さに切っておきます。

②塩・こしょう・片栗粉を混ぜ合わせ、3等分します。フライパンに大さじ1のサラダ油を入れ、フライパンが熱くなったら、分量の1/3を流し入れ、一面に広げて、箸でところどころ穴をあけ、レースのようにして、焼いていきます。


③キツネ色になって、まわりもパリッとしてきたら、ひっくり返し、フライ返しで押さえながら片面も焼きます。

イラスト-04 ④もう一度ひっくり返し、中央にとけるチーズをのせ、トロリとしてきたらできあがり。

外はパリッと、中はフワフワ。じゃがいも好きにはたまらないおいしさです。
クリーム煮と合わせて、お召し上がり下さい。




編集部より:大仁さんのフードレシピについては、このサイトで多数見ることができます。また、この記事の著作権は大仁浩子さんに帰属し、イラストの著作権は横江節子さんに帰属します。著作権の侵害にご注意ください。

〔もも家〕
TEL:078-391-2466
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 前川ビル2F
(三宮駅の北、徒歩5分)
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