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         スポーツ医学とスポーツ現場をつなぐコミュニケーションブログ
 
月刊スポーツメディスン最新刊紹介
月刊スポーツメディスンNo.210(2019年5・6月合併号)←詳細&購入はここ!
210表紙
『特集 セラピストの手の使い方」
── 治療技術の向上のために
 
1.「肩関節疾患を診るうえでのセラピストの手の使い方」
勝木秀治・関東労災病院 中央リハビリテーション部理学療法士、専門理学療法士(運動器)東海大学医学部 基礎医学系生体構造機能学領域
 
2.「体幹、下肢のスポーツ障害への運動療法で大事なセラピストの手の使い方」
園部俊晴・コンディショニング・ラボ(インソールとからだコンディショニング専門院)
理学療法士、運動と医学の出版社代表取締役社長

3.「臨床動作促通法の紹介」──正しい動作に誘導するために
鈴木俊明・関西医療大学大学院 保健医療学研究科
 

カツ、喝、葛?

久米先生顔イラスト ブログ 最初のカツは別として、タイトルの「喝」と「葛」のちょっとした違い、分かりますか?そう、字右下の「ヒ」と「人」のところが違うんです。他にも、「渇」や「褐」はやはり「ヒ」ですが、何故「葛飾区」の「葛」だけ「人」なのでしょうか。この疑問を投げかけたのは、12月9日付け読売新聞朝刊の社会面記事「気になる!」でした。

 答えは、戦前はどの字もみんな「人」で統一されていたそうですが、「発端は戦後に定められた当用漢字の見直し」の際に、「①手書きで書きやすい②できるだけ簡単にするーなどを基準に字を決めた経緯がある」なかで、「当用漢字に入った『掲』『渇』がまず『ヒ』に変わり、常用漢字で仲間入りした『喝』『褐』も『ヒ』に統一された」ということでした。では「葛」」は?取り残された感があります。記事には、前述した葛飾区もそうでしょうが、奈良県葛城市の困惑ぶりが紹介されていました。

 元々、「漢字は五、六世紀ころの日本にようやく広まり始めた文化的技術の一つである」と書いているのは「日本語をさかのぼる」(岩波新書)の著者大野晋氏です。そして、大野氏は「それ(漢字)は(当時の)一般の民衆には無縁のものであった。一般の民衆は、ただ発音だけを頼りに意思や事柄を伝達し合っていた。だから、同音の語は同一の語であり、一つの意味を表した」とも書いています。大野氏が本書の中で盛んに述べている“われわれ日本人の言葉に対する深いところの理解の仕方は、たぶんに身体感覚と密接に結びついている”という指摘は、傾聴に値すると思います。

 ところで、身体感覚を言葉で表現するという行為は、われわれスポーツ指導者にとっては専売特許ではないかと、私は思うのです。「バシ、と打てよ!」「「そこはトントン、と進まないと・・・」といった表現を、日頃の指導場面で多用している指導者は結構多いのではでしょうか。私などは「先ず、ここでバン! とお前が当たるだろ! そうすると、ここのコースがドカン! と空くわけだ! そこをバックがスゥーと抜けたらOKなんだよな」といった指導が日常です。これは、いわゆるオノマトペア(擬音語、擬態語)を多用しているわけですが、スポーツ場面のように、ただ事柄を伝えるだけでは不十分で、そこの力感やスピード感も同時に伝えていと感じている我々にとっては、このオノマトペアは誠に使い勝手の良い言葉なのです。

 ところが、このような身体感覚を言葉に色濃く乗せようとしている人々が、ほかにもいるのです。それは、現代の若者、とくに中高生たちです。

スポーツカツ37 001 「あふれる新語」(北原保雄編大修館書店)には、そんな身体感覚語とも言うべき斬新な言葉の数々が辞書の形式で並べられ、解説されています。たとえば「未恋人(みれんびと)」とは「まだ恋愛関係までいっていない二人のこと、「発恋(はつこい)」とは「走り出した恋」のこと、といった具合です。さらに、本書の帯には、「指恋(ゆびこい)」の文字もあって、「携帯でメールのやり取りを重ねるうちに恋愛関係に発展すること」と解説されていました。

 それにしても、何と感受性豊かな、清々しい言い換えでしょうか。本物よりも意が強く感じられ、現実感が持てると感じているのは私だけですか。若い選手の指導には、こんな感覚の言葉が適切なのかもしれません。

 ところで、みなさん。
「コーチ! 俺、今度のゲームはバリ、ガチります。他のみんなも鬼強(おにつよ)なんスよ。だから、絶対練習アベりませんので、よろしくお願いします!」って言われたらどうします? 

 選手の気持ち、わかってやって下さいね。


久米秀作・帝京平成大学 (日本体育協会公認アスレティックトレーナー)


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