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         スポーツ医学とスポーツ現場をつなぐコミュニケーションブログ
 
月刊スポーツメディスン最新刊紹介
月刊スポーツメディスンNo.210(2019年5・6月合併号)←詳細&購入はここ!
210表紙
『特集 セラピストの手の使い方」
── 治療技術の向上のために
 
1.「肩関節疾患を診るうえでのセラピストの手の使い方」
勝木秀治・関東労災病院 中央リハビリテーション部理学療法士、専門理学療法士(運動器)東海大学医学部 基礎医学系生体構造機能学領域
 
2.「体幹、下肢のスポーツ障害への運動療法で大事なセラピストの手の使い方」
園部俊晴・コンディショニング・ラボ(インソールとからだコンディショニング専門院)
理学療法士、運動と医学の出版社代表取締役社長

3.「臨床動作促通法の紹介」──正しい動作に誘導するために
鈴木俊明・関西医療大学大学院 保健医療学研究科
 

神戸のイベント、ジャズストリートに寄せたショートストーリーと、曲名であり、料理名である「ジャンバラヤ」の紹介です。ぜひ、お試しを。

ジャズストリート(文・料理/大仁浩子・もも家店主、イラスト/横江節子・神戸垂水区在住)

イラスト04 サイキチは父親と二人暮らし。豆腐屋の裏手の路地を曲がった棟割長屋に住んでいた。サイキチの朝仕事は、豆腐屋の勝手口に置いてある木箱のおからを、町はずれの養豚業者に届けること。おからは、まだほんのりと湯気が立ち甘い香りがしたが、自転車の荷台に積むと、ずっしりと重い。安い駄賃だったが、毎日続けると結構な小遣いになった。何よりも、それでお昼のパンが買えた。

 サイキチの父親の本業は、街頭宣伝業、サンドイッチマン。クラリネットを巧みに吹いたから、夜はクラブの舞台でも演奏した。舞台がはねると、決まりごとのように、打ち上げ、と称して朝方まで飲む。クラブの仕事がない日は、曲の打ち合わせ、といってまた、酒を飲む。つまり、昼の街頭宣伝業がないかぎり、ずっとお酒のコップを離さなかった。

 8月に入って、駅前に大型パチンコ店がオープンすることになり、久し振りに大きな仕事が入った。サイキチが「これだけの大量のビラ配りやったら、やっぱ、キンチャンにも頼まんとあかんやろ」と言うと、「そやな、派手にせんと枚数がさばけんからなあ」と父親が二日酔いの虚ろな目をして答えた。キンチャンはクラブでドラムを担当していた。街頭宣伝を頼むと、太鼓の胴の上に小さな鉦(かね)が乗った大きな和太鼓を肩から襷掛けにしてやってくる。

 キンチャンが加わると、リズムセッションはバッチリ決まる。バチさばきも華麗で、指先でクルクル回したり、空中に放り投げたり。それでも軽快なリズムは1秒も狂うことがない。キンチャンと歩くと町中が浮き立つ。

 サイキチはというと、顔を白い練白粉で面相が分からないほど塗りつぶし、手は水白粉で指先まで白く染めた。桃色の蹴出しの上に緋色の着物、黒繻子(くろしゅす)の帯を締め、二つ折れの鳥追いの編笠を深くかぶり、決して脱げないように、あご先で笠紐をしっかり結んだ。そして、二人だけのバンド編成の先になり、後になりして、ビラを配って歩いた。そのうちの数枚のビラには、細長く折りたたんで、着物の衿元に幾本もはさんでおく。街頭でパチンコが好きそうな男達を見つけると、駆け寄って胸元のビラを引き抜いて手渡した。

 そうすると、男たちは、まるで恋文でも受け取ったように、口元をゆるめて、ニンマリした。そして、ビラを開かずに、あわててポケットにしまい込んだ。そういう男達こそが、必ず店に来る客になると、サイキチは経験で知った。サイキチは、ヒョロリと背が高く、手足が長い。声を出さず、大きな歩幅で歩かなければ、もう一人前の立派な女形に見えた。いつか、クラスの男の子が、「サイキチは、オヤジさんから、足の太股の間に新聞紙を挟んで、それを落とさないように歩け、いうて、練習させられとった」と言っていた。落とすと、シュロのハエ叩きで足を打たれるのだと。サイキチは、少し内股で歩くことを訓練で覚えた。

 師走に入って、父親はバンドの仕事が忙しい。深夜に酔いつぶれた父親をクラブの裏口まで迎えに行くのもサイキチの仕事になった。その頃のサイキチは、学校中で一番睡眠時間の少ない生徒だったと思う。教師達も、家庭の事情を知ると少々の居眠りや宿題忘れも大目にみていた。が、一人の教師だけはそれを許さなかった。厳格な国語教師で、頭髪が乱れぬよう、グリスで髪を固め、手指が汚れるからと、白墨(チョーク)を銀色のチョークホルダーに挟んで使っていた。そして少しでも生徒が居眠りをしようものなら、容赦なく、そのホルダーが肩先に飛んでくるのだった。サイキチは、当然、目の仇にされた。

 サイキチのほうも心得ていて、「今日は宿題をしていないので」とか「漢字が読めなかったので」と自分から申し出て、廊下に出て、授業を放棄した。その振舞もますます教師の怒りをかった。

 3学期になったある日、事件が起きた。
 高校入試の模擬のテスト中に、サイキチは、その静けさに誘われるように眠り込んでしまった。席の後ろの者が、鉛筆でつついても、ピクリともせずに。折悪く、その教師が見回りに来て、サイキチはいきなり首をつかまれて廊下に出された。そして、パシッと頬を打つ音がした。サイキチが静かに、しかしはっきりと言った。「左側だけでは物足らないだろう。右も打てよ。オレは知っているんだ。お前は教育だと言って、生徒を殴る。でも、そうじゃない。お前は暴力が快感なんだ。自分の快感のために人を殴る。狂ってるんだよ、お前は」。そう言い残して、サイキチは誰もいないグランドを真っ直ぐに突っ切って校門を出て行った。しばらくして、2~3人の教師の一団が、同じようにグランドを突っ切って、サイキチの後を追うのが見えた。それっきり、サイキチは学校に現れなかった。そして、いつしか、誰もそのことを忘れてしまった。

 10月の第2週目の土曜と日曜は、神戸ジャズストリート。三宮から北野坂の街路でも、様々のスタイルでジャズの演奏が流れている。その音は、六甲の山を越え、青空に突き抜けていく。坂の途中で、赤と青の星条旗色のブレザーを着た一団が、陽気に“ジャンバラヤ”を演奏している。それを取り囲んだ聴衆から手拍子が起こった。バンジョーが掻き鳴らされ、ドラムが鮮やかにリズムを刻み、コルネットが追い、途中からアドリブのトランペットが加わった。そのトランペットを吹く男の横顔に見覚えがあった。シンコペーションで入るリズムの切れもよかったし、何よりその男自身がいかにも楽しげで、明るい響きをもっていた。大きな拍手が湧き起こった。

 リーダーらしき人が「では、皆さん、“聖者の行進”に合わせて、北野まで行進!」と声を掛けた。人々は誘われるままに楽団を先頭に歩き始める。まるでハメルンの笛吹き男の話のように。その時、突然、ふいに思い出した。あのトランペットの男はサイキチではないかと。それは、その男が長い足を少し内側にすり合わせるように歩いたから。女の人のように細い腰をして、長い手指をしなやかに動かして、人々の拍手に応えていた。サイキチによく似たその男は、トランペットを愛し、自由に自分を、自分の心を表現できるジャズに、酔いしれて生きているように見えた。

 伸びやかで楽しく、人々を夢中にさせる音を、その男は持っていた。幸せそうだった。その楽団を先頭に、北野坂を登る一群が、もう小さくなった。その一群の上を、時折、キラキラと金色の光が舞っている。あのトランペットが秋の陽射しに包まれ、金色に輝いている、その光だ、とわかる。

*神戸ジャズストリート
第29回神戸ジャズストリートは、国内外のアーティストを招き、三宮・北野坂、トアロード周辺のパブ・教会・ホテルなどを会場にして行われる。広場やストリートにもバンドが繰り出し、期間中、周辺はジャズの音色に包まれる。
期間:10月9日(土)~10月10日(日)12:00~17:00
パレードは阪急三宮北側出発(11:00~)。
チケット販売:京阪神プレイガイドなど。1日券4,500円、両日券8,000円
問い合わせ:神戸ジャズストリート実行委員会(電話078-232-3211)



「もも家」のフードレシピ
ジャンバラヤ 

イラスト03  ジャズ発祥地は米国南部、ニューオリンズ。そこに住むクレオール人(黒人とヨーロッパ人とのハーフ)のソウルフード、Jambalayaはニューオリンズの伝統的な家庭料理。スペイン料理のパエリヤが起源といわれ、独特のスパイス感が特徴の炊き込みご飯です。そしてまた、ジャンバラヤは、陽気なディキシーランドジャズ“Jambalaya”の歌詞にも度々登場します。
 ――さあ、今夜は楽しくやろう。ジャンバラヤ、ザリガニパイ、フィレガンボの皿が並んだ宴会場で。おれの恋人、イボンヌを見に親戚中がやってくるのさ。今夜はめかしこんで、どんちゃん騒ぎで盛り上がろうぜ。――
 というもの。ニューオリンズの人々にとって、ジャンバラヤは、ソウルフードにしてソウルミュージックのよう。
 日本でも新米を使って、手軽に楽しくお作り下さい。


■ジャンバラヤの作り方
 材料
ソーセージ 200g(ハーブ入りのもの100g、荒挽きのウィンナー100g)
焼豚   100g
玉ネギ  100g(中1個)
ピーマン 100g(小1個)
セロリ  50g(約1本)
トマト  250g(大1個)
米    250g(1.5カップ)
ブイヨン 4.5カップ(トマトのみじん切りを入れた総量で)
スープキューブ 1個
ニンニク  1個
タイム   小1
カイエンヌペッパー 小2
オリーブ油 40cc

こしょう(黒)

 作り方
イラスト01①ソーセージは1cmの輪切り。
焼豚は、1cmの角切り。
ピーマンは、種をとり、8mmの角切り。
玉ネギは、皮をむき、みじん切り。
セロリは、筋を引き、みじん切り。
トマトは、皮をむき(湯むきしてもよい)、種をとり、粗く刻んでおく。
ニンニクは、皮をむき、みじん切り。

②深型のテフロン加工のフライパンか、テフロン加工の中華鍋。それに合う鍋蓋を用意します。蓋がなければ、アルミホイルを蓋のサイズに合わせて代用します。

③鍋にオリーブ油40ccを入れ、みじん切りのニンニクを入れ、ガスの火をつけます。よい香りがしてきたら、セロリ、玉ネギ、ピーマンを入れ、軽く塩こしょう(小1/2くらい)してしんなりするまで炒めます。イラスト02

④お米1.5カップを洗わずに入れ、しっかり炒め、お米が十分熱くなったら、ソーセージ、焼豚を入れ、さらに炒めます。塩こしょうを軽くします。

⑤トマトのみじん切りを軽量カップではかり、それと水で4.5カップにします。ジャンバラヤの水加減は、お米:水=1:3になるようにして下さい。
タイム(小1)、カイエンヌペッパー(小2)を振り入れ、スープキューブ1個を入れ、トマト入りの水4.5カップを入れ、強火に。沸騰してきたら、表面のアクをとり、蓋をして、弱中火にして、20分。最後に、20秒強火にして火を止め、5分むらします。

⑥炊き上がりの味をたしかめ、好みでスパイスを足して、さっくり上下を混ぜ合わせて、ジャンバラヤのできあがり。

 ジャンバラヤは家庭料理ですから、中に入れる具材はお好みで、ソーセージは欠かせませんが。鶏肉、エビ、ロースハムも入れると、ご馳走になります。野菜は、玉ネギ、セロリ、ピーマンを必ず入れて下さい。これらを炒めたものは、Holy Trinity(聖三位一体)といい、料理のベースにするのが、クレオール料理の伝統のよう。スパイシーな炊き込みご飯ですから、ビールなど冷たい飲み物がよく似合います。
 そういえば、“Jambalaya”の詞でも、「フルーツパンチで陽気に騒ごう」と歌っておられました。
 それでは、また11月のお目にかかります。


編集部より:大仁さんのフードレシピについては、このサイトで多数見ることができます。また、この記事の著作権は大仁浩子さんに帰属し、イラストの著作権は横江節子さんに帰属します。著作権の侵害にご注意ください。

〔もも家〕
TEL:078-391-2466
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 前川ビル2F
(三宮駅の北、徒歩5分)
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