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校長のカツ

久米先生顔イラスト ブログ 現在、大学のキャンパスは静寂そのもので、4月から新学期を迎えるにあたり英気を養っているようにも見えますが、かといって全く機能停止しているわけでもありません。2,3月という月は、粛々と新学期に向けて準備を進める時期でもあります。

 私が担当している教職コースでは、この時期が教育実習に向けての準備期間として重要な意味を持ちます。教育実習は、教職コースの4年生が2~4週間の間中学校や高校に実習生として出向き実習を行うわけですが、実習先では今までの自分とは真逆の立場になって教壇に立ったり生徒指導を行ったりするわけですから、実習に行く本人のみならず、送る側である我々担当教員の心配も大いにボルテージが上がります。

 幸い私が実習担当を始めてからは、それほど大きな問題は発生していないのですが、全く問題がないわけではありません。実技授業の最初に生徒を集めることが出来ない、と実習先の指導教員から苦言を呈されたこともあります。つまり「おい、集まれ!」の一言が言えないというのです。では、実習生はどうしているのか。授業が始まってもウロウロしている、というのです。この時は、私も「ここからの指導が必要か」と肩を落としたことを覚えています。

 この例は他大学での話ですが、実習生の中にはまだ本当に教員になるかどうか決めかねている者がいて、その学生が実習先の指導教員に「私は別に教員になるつもりはありません」と言って大きな問題になったことがある、というのです。確かに、実習先の指導教員にしてみれば、忙しい時間の中で実習生の面倒を見、場合によっては勤務時間外でも励ましたり、たしなめたりと時間を割き、自分と同じ道を志していると思うからこそ指導に力が入るのに、「ただ教員免許が欲しい」がためだけに教育実習に来ていることがわかってしまえば、全身の力が抜ける、というのも尤もな意見だと思います。

 実は、私の大学にもこういった学生は少なからずいます。ただし、これには彼らなりの理由もあるわけで、例えば、今はまだ教員採用試験に受かる自信がないとか、教職以外の職種を希望する学生にとっても教職免許が必要である、という現実があります。したがって、これはこれで納得せざるを得ないわけですが、前述の問題の根底には、実習生のモラル、つまり受け入れ先の感情を逆なでしている、ということに気がつかないモラルの低さが問題なのだと思います。

 そこで、私の大学では、先日の3月1日、2日に「教育実習事前指導」という集中授業を行いました。この授業の主旨は、もちろん実習生のモラルの向上にあります。「実習に行くにあたっての心構え」から始まり、実習に行く際の髪型・服装に至るまで指導します。

スポーツカツ47 001 この授業のメインプログラムは、現役高等学校校長による講義です。お願いした校長は保健体育教員でもある方ですか、うちの学生にはうってつけだろうとお願いしました。

 当日の先生のお話は、先生ご自身の長い教員生活に裏打ちされた内容で溢れていました。学生たちもさすがに寝る者などなく、聞き入っていたようでした。なかでも「教育実習には、自分が教員に向いているかどうか、しっかり見極める覚悟で行きなさい」という校長の言葉には、学生たちにも大いに納得したようです。講義後の感想文に、このことを書いている学生が多く見られました。

 親には叱れないことを他人に叱ってもらう。そうやって、子供は一人前に育つのだと思います。今回は、我々ができない“喝”を、校長に入れてもらう格好になりました。


久米秀作・帝京平成大学 (日本体育協会公認アスレティックトレーナー)

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