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仰げば尊し、わが師のカツ

久米先生顔イラスト ブログ  卒業式のシーズンになりました。最近、電車に乗っていると、袴姿や振り袖姿の女子学生やスーツをビシッと決めた男子学生によく出会います。

 私が勤める大学でも先日卒業式が挙行されましたが、中には演歌歌手のような派手な羽織袴で出席していた学生もおりました。こういった目立ちたがりの学生は昔からいて、以前にはボーリングのピンに見立てた被り物を着てくる学生や人気アニメキャラの格好で出席しようとする学生もおりましたが、全て会場入り口を突破することができず、卒業式への参加は違った意味で許されなかった様です。

 自分の卒業式を思い出してみたのですが、いまいち記憶がはっきりしません。出席はしたにはしたのですが、もちろん学長の訓示など覚えているわけがありません。多分、この卒業式への無関心は、私の場合卒業後も大学に残って勉強を続けることが決まっていたためだと思います。

 今“勉強を続ける”と言いましたが、書いていて“勉強を始める”と訂正した方が良い、思いました。卒業証書を頂いた母校には大変失礼な話で申し訳ないのですが、在学中アメリカンフットボールに夢中になっていた私には、教室はグラウンド、テキストはフォーメーションブックという調子で、したがってほとんど正規の教室にいたためしがないという有様でした。

49スポーツカツ 010 それでも卒業年に教員採用試験を受け、もし1次試験に合格すると「2次試験と大切な試合の日程が重なる」と真剣に悩んでいた私に、母親は自信を持って「受かるわけがないから心配するな」と言い切ったのです。結果、母の私情に流されことなく事実をきちっと見極める眼力に感心することになりました。

 卒業後大学に残った私への最初の試練は、研究室での生活です。私が所属した研究室は、厳しさでは当時大学随一の石井喜八先生の研究室でした。先生は、先ず私に研究室には朝の8時から夜の8時までいるようにとおっしゃいました。先生自身もいるわけですから、研究室を抜け出すわけにはいきません。必然的にじっと机に向かうことが増えました。

 ある時、私が机に向かっていると、先生が背後に立って「何を読んでいるのか」と聞いてきました。その時自分がどんな本の名前を挙げたかは覚えていませんが、先生は「スポーツ関係の本ばかり読んでいては駄目だ。こうゆう本も読みなさい」と「現代のエスプリ」(至文堂)を手渡してくれたのです。これは毎号違ったテーマを特集する月刊誌で、今も続く息の長い本ですが、頂いた時の特集テーマが「いき・いなせ・間―現代に生きる日本人の美意識―」というものでした。

 人に教える、とは新しい知識を教えるばかりではないと思います。今までその人が持っていた知識が、見方を変えただけで違った知識に替わる、ということを教えることも立派な教育だと思います。私の恩師は、これを言いたかったのかも知れません。御蔭で、私は多彩なジャンルの本を読む習慣がつきました。

 卒業式が終われば、次は入学式です。今年も多くの若者たちが、晴れて大学の門をくぐります。それを待ち受ける我々教員たちは、どんな風に彼らの持っている常識を打ち破ってやろうかと、今から虎視眈々と準備を進めているところです。


久米秀作・帝京平成大学 (日本体育協会公認アスレティックトレーナー)


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