スポーツ医学とスポーツ現場をつなぐコミュニケーションブログ
 
 もうすぐあの大震災から2カ月が経とうとしています。少しずつ復興の兆しがみられるようになりなによりですが、まだまだこれからという段階。人々の気持ちの整理も今少し時間がかかることでしょう。
 今月の「もも家」のフードレシピは、ギリシャ風ハンバーグ。なぜそうなのかは、本文をお読み下さい。

牧神パン(文・料理/大仁浩子・もも家店主、イラスト/横江節子・神戸垂水区在住)

イラスト04_1
「昨日、博物館で大恐慌を引き起こす神様に会って来たわ。その話、聞きたい?」と言うと、新聞から目を離さずに、「手短にね」と娘が言った。

「もう、ずっとずっと、考えるとめまいがしそうな遥か昔。ギリシャでは、神様は人間のような姿をしておられ、そして、水や木や花にはニンフという精霊が住んでいて、お互いが自由に語り合い、愛し合って暮らしていた…らしいわ。神々の王はゼウス。その息子達のひとり、ヘルメスは、なかなかの切れ者で富と商売の神。羊を飼っていた。ある日、森で羊番をしていると、美しいニンフに出会った。そして恋に落ちた。ヘルメスは、きっと素早い行動でニンフを射止めたと思うわ。だって、ヘルメスは翼のついた帽子と翼の生えたサンダルをはいていたもの。
 2人の間に、待望の…かどうかわからないけど、男の子が生まれた。ところが、その子は、とても不思議な姿をしていたのよ。頭には2本の角、下半身は羊の足だった。陽気でよく笑う楽しげな赤ん坊。でもね、母親のニンフは、その姿に驚き、赤ん坊を置いて逃げ出したの」

「エエーッ。それって、あんまりよね」と娘。

「それでね、困った父親のヘルメスが、神々の住むオリンポス山に連れて行くと、その騒々しいまでに陽気な赤ん坊に、すべての神々が喜ばれ、すべての神々が赤ん坊になぐさめられた、というの。そして、その赤ん坊に、“すべて”という意味を持つギリシャ語の「PAN」から「パン」という名をつけた。
 パンは、青年になって、父と同じく羊飼いになった。昼寝が大好きで、いつも岩陰で眠っていたの。ところが、何かでその眠りが妨げられると、怒り狂い、山々に轟く唸り声をあげ、地響きをたて、その烈しさに牧童達は逃げまどい、羊の群れは狂乱。そのすさまじさを神々やゼウスでさえ鎮めることができなかった。それで、突然に、大恐慌状態を引き起こすことを、パンの名前からパニック(Panic)というようになったわけよ。眠りさえ妨げられなければ、そして、羊の足でなければ、パンは陽気な青年。
 それに並外れた女好きだったみたい。ある日、森で羊番をしていると、美しい森の精霊、ニンフに出会ったの。父親のときと同じよね。パンは無邪気に、「オレと付き合えよ」って言い寄ったんだけど、ニンフはパンの姿に驚き、逃げていこうとしたの。ニンフが逃げる、パンが追う。とうとう水辺までニンフを追い詰めて、ニンフを抱きしめようとした、その瞬間に、ニンフはパンから逃れるために、葦に姿を変えたのよ。だから、パンの腕の中にはニンフの代わりに、一束の葦が残っていただけ。パンが葦を抱いて悲しみに暮れていると、どこからか風が吹いてきて、その葦の茎をわたり、涼やかな音を奏でたの。パンは茎を切り揃え、笛を作った。それがパンフルート。パンは音楽の神様でもあるらしいわ」

 できるだけ明るく話した。でも、娘は神妙な顔で言った。

「そのギリシャ神話のパンっていう神様。フルートで音楽を奏でて神々をなぐさめたり、パニックを起こしたり、なんだか矛盾した神様。それに、パニックという言葉、本当は人間の想像をはるかに超えた恐怖が襲ったときにいう言葉よね。友達同士で、よく“電車に遅れそうでパニクった”って軽々しくパニックを使うけどね。今の日本では、東北の、あの巨大地震に遭った方達だけが、使える言葉かも知れん、と思う。自然の神様が起こした津波かも知れんけど、やっぱり神様はむごすぎる。今でも、うそやないかと思う。信じられん」

 五月にしては、寒い夜だった。神戸14.4℃、東北は7.7℃。テレビが、そう伝えていた。今夜はどうか、パンが気まぐれで余震など起こしませぬように。できれば、風の音にしのばせ、辛い夜を過ごされている方々に、やさしい子守唄を届けてくれますように。母娘は、ただ祈ることだけしかできずにいます。

*神戸市立博物館
昭和10年、旧横浜正金銀行・神戸支店として竣工。昭和57年、神戸市立博物館として開館。ドリス様式の円柱が建つ新古典様式の外観を持つ。1988年(昭和63年)登録文化財指定。
「大英博物館・古代ギリシャ展」
3月12日(土)~6月12日(日)午前9時30分~午後5時
〒650-0034神戸市中央区京町24(電話078-391-0035)


「もも家」のフードレシピ

ギリシャ風ハンバーグ

イラスト03_1
 大英博物館・古代ギリシャ展で、白い大理石の美しい彫像を見ていると、ギリシャへ旅立ちたくなりました。しかし、ギリシャは遠い国、「日帰りで行ってきます」というわけにはまいりません。そこで、せめて夕食はギリシャ風で、とギリシャの代表的家庭料理、ケフテデス(ミートボール)を、ハンバーグにしました。ギリシャは古代文明発祥の地。つまり、西欧料理の発祥の地。豊かな山海の産物を、塩、こしょうで味付けするだけでなく、ハーブ(スパイス)やチーズを取り入れ、ヨーロッパの料理法を発展させました。さあ、それでは、ハーブのたくさん入ったハンバーグを作りましょう。

 材料(4~5人分)
合びきミンチ   500g
玉ネギ     中1個
パン粉     1カップ
牛乳     80cc
卵       1個
ハーブ
 ミント(生があれば刻んで) 大3
 パセリ(同上)       大3
 オレガノ(乾燥したもの)  大1
 バジル(同上)       大1
 塩、こしょう        それぞれ小2

イラスト01_1 作り方(とても簡単です)
①パン粉に牛乳を入れ、しっとりさせておく。

②玉ネギはみじん切り。

③ミンチ肉に①、②と全卵1個、それにたっぷりのハーブをまぜ、塩、こしょうする。固いようなら、お酒か水を入れ、やっとお団子になるくらいの柔らかさにまとめます。

④③を4~5等分にし、表面に軽く小麦粉をはたき、フライパンにサラダ油大2を入れて、片面に焼き目をつけます。ひっくり返して、アルミ箔でフタをして、中火弱に火を落とし、中までゆっくり焼きます。

■ソース(ザジキ) 
 作り方
ザジキという、きゅうりとヨーグルトのギリシャのディップをソースにします。

イラスト02_1 材料(4~5人分)
きゅうり   1本
玉ネギ    3個
ニンニク   1片
ヨーグルト(無糖のもの) 11/2カップ
カッテージチーズ     1/2カップ

①きゅうりは塩をして、板ずりして、4等分し、さらに半分にしたものを小口から7mmくらいのサイコロ状に切る。20分おいて、キッチンペーパーで水気をとる。

②ニンニクは細かいみじん切り。玉ネギもみじん切りにしておく。

③ヨーグルトのうわずみの液を取り除いたもの(11/2~2カップ)をボールにとり、カッテージチーズ1/2カップ、①②をまぜ合わせ、塩、こしょうで味をととのえる。隠し味に、砂糖小1と白だし醤油小1を加えて、出来上がり。
このディップは、生野菜のスティックやフライドポテトにつけても。

ハーブの香り高い、ギリシャ風ハンバーグは、ザジキのソースで、とてもさっぱりと、おいしくいただけます。さわやかな五月の風のようなハンバーグです。ぜひ、お試し下さい。あっ、そうそう。このハンバーグ、小さく作っておけば、お弁当に重宝します。

編集部より:大仁さんのフードレシピについては、このサイトで多数見ることができます。また、この記事の著作権は大仁浩子さんに帰属し、イラストの著作権は横江節子さんに帰属します。著作権の侵害にご注意ください。

〔もも家〕
TEL:078-391-2466
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 前川ビル2F
(三宮駅の北、徒歩5分)
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