スポーツ医学とスポーツ現場をつなぐコミュニケーションブログ
 
牧場というと、都市部から遠く離れたところにあると思うが、神戸の街からすぐそばにあるのが六甲山牧場。牧場の光景とチーズ作りの話。そして、今月のレシピはチキンのチーズフォンデュ。簡単なのでぜひ、今夜お試しください。

緑の牧場 (文・料理/大仁浩子・「もも家」店主、イラスト/横江節子・神戸市垂水区在住)

イラスト04
 六甲ドライブウェイの登山道を車で30分も登ると、もう神戸の街は、はるかに下のほう。六甲山は、街と驚くほど近い。道路わきに「羊、飛び出し注意」の看板がところどころに現れると、六甲山牧場はもうすぐ目の前。駐車して降り立つと、すっぽりと緑の山々に囲まれる。なだらかな山の斜面に広がる牧草地は雨に洗われて、どこまでも青々と鮮やか。

「あいにく小雨模様で、動物達を外に出していませんが、ゆっくり遊んで行って下さい」と、切符を切りながら係の人が申し訳なさそうに声をかけて下さる。

 今日の目的は、チーズ工場の見学とチーズ作り。雨の日は屋内でチーズを作るのもお洒落な過ごし方かな、と出かけてきた。さて、チーズ作り。牧場の乳脂肪たっぷりの牛乳に、レモン汁を加えて40℃の湯煎にかけるとカッテージチーズが出来上がる。もうひとつは、ストリングチーズ。市販品にある“裂けるチーズ”。どうしてチーズが糸のように縦に裂けるのか、不思議だったのだけれど。種明かしをされると、なあんだということになったのだけど。まずチーズを柔らかくして両手で伸ばし、引っ張って、糸のように伸ばし、半分に折りたたむ。それをまた引っ張って半分にしてたたむ。それを何度か繰り返し、チーズの糸の層を作って束ねる。1日寝かせると、ストリング(string)、つまり紐状チーズの出来上がり。1時間の工程で、2つのチーズ作りは終わってしまう。

 窓の外が少し明るくなったので、めん羊舎のほうへ歩いてゆく。すると、舎の扉が急に開いて、前庭のひつじパドックへ羊達が群れをなして飛び出してきた。晴れ間を待ちかねていたように、パドックの青草を食べ始めた。

 パドックは小さな園庭。そこに100頭あまりの羊達。青草の絨緞はたちまちモコモコとカールした羊達の背でうまって、ウールの絨緞のよう。しばらく小声でメエメエ鳴きながら、静かに草を食べていたが、一頭がかん高い声で「メエー」と鳴くと、あちこちの数頭ずつが応えるように鳴き交わす。井戸端会議のようであり、ほほえましい。柵の外で飼育員の方がレーキで上を平らにしておられた。

「かわいい羊達ですね。鳴き声も様々で、ベヘーとかヴォーとか低い声のもいるのですね」と声をかけると、

「全員、女の子なんですけどね。牛のような声で鳴くのもいます」。

 話していると、羊達が飼育員のまわりに集まってきた。私たちが何を話しているのかと聞き耳をたてるようにピンクの耳をピクピクさせている。そして、黒い目を一斉にこちらに向けてメエメエの大合唱。それは羊のAKB48に囲まれているようで、何やらうれしくなる。見物客もニコニコ顔でそれを見守っている。

「もうすぐ夕食だから、早く柵の鎖をはずして、と集まってきたのでしょう」と飼育員。

そのAKBから離れたところで一頭の羊が「ベェエー」と野太い大声で鳴くと、集団が静かになった。

「今、鳴いたのは14番ですね」

「出産に立ち会って赤ん坊から育ててますから。それに何を言っているのか、およその察しがつきますよ」。

 そして、「おう、ちょっと待てよ」と、羊嬢達の頭を次々になでられた。共通の言葉で話さなくても気持ちは通い合うのだ。

 梅雨の終わりを告げるように遠くで雷の音がする。

「羊は雷が鳴ると恐がって、身を寄せ合ってひとかたまりになると聞いたことが…」と言うと、

「六甲山では雷はしょっちゅう。この娘達は慣れっこになって、ちっとも驚きません」。

 六甲の羊達は環境順応性が高いらしい。羊は小心者で大人しく、飼いやすい動物だと思っていた。ところが、こうして、しばらく一緒にいると、それぞれの個性を発見する。気性の激しい娘羊もいれば、人馴れして話したそうに柵に寄ってくるものもいる。その仕草のユーモアにあふれていることといったら。思わず、ニンマリ笑ってしまう。羊たちは、観客を虜にしている。あちこちで笑いの渦が起こっていた。

 牧場は、不思議な力を持っている場所なのだ。動物はもちろん、木や小さな花々さえも、すべてが命の輝きに満ちている。訪れた者はそれらに触れると、魔法にかけられたように、幸福感につつまれる。一瞬にして無邪気な童心に返ることができる。心がほどけていくのがわかる。

 緑の牧場はすばらしい世界。日々の街の暮らしに疲れたら、また動物たちに会いに行こう。何しろ、六甲山牧場は、神戸の街から30分のところにあるのだから。

*神戸市立六甲山牧場
毎年3月20日から11月5日まで無休で開場。羊、乳牛、馬、アンゴラウサギ、山羊、アヒル、牧羊犬などと触れ合うことができる。
交通:阪急六甲駅から阪急バスで「六甲山牧場」下車
住所:神戸市灘区六甲山町中里山1-1
TEL 078-891-0280



「もも家」のフードレシピ

チキンのチーズフォンデュ

イラスト03
 六甲山牧場では、搾りたての牛乳を使ったカマンベールチーズが作られています。
 このチーズは、フランスのカマンベール地方が原産。白カビで1~2週間熟成させ、表面は白い皮の層。その内部は軟らかく濃厚な風味があります。熱で溶けやすいのでカリカリに焼いたチキンにのせて、トロリと溶かし、ソース代わりにしてみました。
 トマトやレタスと一緒に、サラダ風にお召し上がり下さい。
*フォンデュ=fondue(仏)溶けた


 材料(2人前)
鶏のもも肉  2枚(約450g)
ベーコン   3枚
トマト    大1個
カマンベールチーズ 1個
レタス   1/2個

■調味料
塩(小2) こしょう少々 小麦粉(大3)
レタスにかけるフレンチドレッシング。
材料さえ揃えば、作り方はとっても簡単。
では、作ってみましょう!


 作り方
イラスト01①鶏のもも肉は、皮をとり、身の間にある脂肪も丁寧に取り除き、身の厚いところは切り開いて、両面に塩こしょうし、10分おきます。筋切りし、一枚を3つに切り分けます。

②ビニール袋に小麦粉を入れ、そこに①を入れ、全体に薄く小麦粉をつけます。

③ベーコンは、7mm角、トマトは皮をむき、種を抜いて、1cmの角切り。カマンベールチーズは6枚の薄切りにします。

④レタスは洗って水気を切り、少なめのドレッシングで下味をつけて、お皿に敷いておきます。

⑤フライパンにサラダ油(大2、表記外)を入れ、②の鶏肉を入れ、焼きつけます。両面がカリッときつね色に焼きつけられたら、フライパンの片方に寄せ、キッチンペーパーで油をぬぐい、きれいにしたところにベーコンの角切りを入れ、ベーコンの風味を鶏になじませます。

イラスト02⑥カマンベールチーズを鶏の上に一枚ずつのせ、フタをします。チーズがトロリと溶けたら、できあがり。

⑦熱々のうちにレタスの上にのせ、トマトの角切りを全体に散らし、一緒にいただきます。

 フライパンだけで作れるチキン料理。
 一見、手の込んだ料理にみえるので、おもてなしに最適です。脇役のカマンベールチーズが主役のチキンをぐっと引きたて、そして、しっかりとチーズのおいしさを主張している一皿。
 では、冷たいロゼワインで、Sante!(乾杯)


編集部より:大仁さんのフードレシピについては、このサイトで多数見ることができます。また、この記事の著作権は大仁浩子さんに帰属し、イラストの著作権は横江節子さんに帰属します。著作権の侵害にご注意ください。

〔もも家〕
TEL:078-391-2466
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 前川ビル2F
(三宮駅の北、徒歩5分)

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