スポーツ医学とスポーツ現場をつなぐコミュニケーションブログ
 
今日はクリスマスイヴ。それにちなんで、今月のショートストーリーのテーマは「クリスマスケーキ」、フードレシピは「豚肉ステーキ」です。今年もあとわずか。大変な一年になりましたが、分けあう気持ち、感謝の大切さをあらためて知った一年でもあります。明年はよき年でありますように。

クリスマスケーキ
(文・料理/大仁浩子・「もも家」店主、イラスト/横江節子・神戸市垂水区在住)

図1 もうずいぶん昔。藤棚の下にブランコが2つしかない幼稚園がありました。私はアヒル組、年少の子はヒヨコ組。それぞれの部屋には、外国の女の人が裸ん坊の赤ちゃんを抱っこしている絵が掛けてありました。

 「マリア様とイエス様ですよ」と先生がおっしゃいました。園は午前中で終わり。机のお道具を片付けると、小使いさんの“おばさん”が、白い湯気の立っている脱脂粉乳の鍋を運んで来て、アルマイトのコップに注ぎ分けてくれました。

 それから唱和。先生は両手を組まれて「天のおとうさま、おかあさま。おいしいミルクをありがとうございます」。“おいしいミルク”と唱和しても、そのミルクはムッとした香りがして、なじまない味。すっかり冷めてから飲み干した。お鍋のまわりにはもう、お代わりをもらう男の子の列ができていましたが。

 帰りは広間に集まって「田村園長センセイ」の前に進み、手を組み、口をアーンと開けていると、聖体拝領のように、甘いドロップスが舌先に。センセイはニッコリ笑って「さようなら、また明日」と言われるのでした。そのドロップは鯨油で作った肝油ドロップ。砂糖で外側をコーティングしてあるのを口の中で転がしながら帰るのです。やがて、妙な味がしてくるのですけれど。

 小さな幼稚園の最大の行事はクリスマス。広間には小使いさんの“おじさん”が立てた大きなモミの木。枝先には赤や青、金色や銀色のガラス球のオーナメントがお星さまのように下がっています。その頃には石炭ストーブが焚かれてました。

 “おじさん”がスコップで石炭を入れ、長い柄の火掻き棒でさわると、赤い炎が勢いよく燃えツリーのガラス球に反射してキラキラ輝くのです。

 そして24日はクリスマスイブ。サンタさんからプレゼントが届く日です。クリスマスの歌、ジングルベルを、「ジングルベー、ジングルベー♪」を歌い、紙芝居は「マッチ売りの少女」。その頃は敗戦から7年目。駅のガード下にはまだホームレスの一家が住んでいましたから、マッチ売りの少女は、すぐそこにある現実。心にしみる悲しい話でした。

 それから、それから、お楽しみプレゼントはサンタブーツとケーキ。紙のブーツには柊の実が飾ってあり赤いリボン。中をのぞくと。あの肝油ドロップ1缶、冬休みに退治するための虫下しチョコ。それから、お正月のカルタ。でもそれはなんて素敵なプレゼント。ドロップとチョコとゲームなのですから。

 そして、田村先生は、「お箱の小さなケーキは、おうちのみなさんと感謝と共にいただいて下さいね。落とさないように持って帰るのですよ」といつものようにニッコリ笑っておっしゃるのでした。家に帰ってそっとフタを開けると、雪のように白いバタークリームにくるまれたケーキが入っています。その上にはバタークリームのピンクのバラが一輪のっていました。砂糖粒のアラザンが朝露のようにバラの花びらの上で銀色に光っていましたし、緑色のアンゼリカが3本、バラの花を守るように押してありました。甘美で麗しいバラのケーキです。そしてそのケーキは、まだ見たこともない外国の、未知の世界の扉を開けるケーキでした。家族の人数分に切り分けられた薄いケーキのおいしかったこと。あの幸福な時間をすごすのに小さなケーキは充分な大きさでした。

 師走の夕暮れの街で、古い友人とシナモンティーを飲んでいました。彼女は長く、幼稚園の先生をしています。ふと、小さい頃の幼稚園からのプレゼントが忘れられないわ、と言ったら、今でも園児にケーキをプレゼントしているのだと言う。それでね、と友人はこんな話をしてくれた。

 園で「さあ、皆さん。可愛いケーキがサンタさんから届きましたよ。これをお家の人と分けあって、感謝していただきましょうね」と言うと、園児は口々に、弟は赤ちゃんだからカステラのとこだけ少しあげる、とか、上の飾りのイチゴやチョコの家は全部ひとりで食べたいと言う。それで「それはいけませんね。このケーキは皆で分けて食べるものですよ」と重ねて言うと、女の子が手をあげた。

 「わたしはパパにケータイして、同じのを買ってきてもらって、そして一人で全部食べるの」と言った。そうしたら「そうだ、そうだ、ケータイしたらいい」と全員が賛同して大変だったと言った。それから「ねぇ、今時という感じでしょ。分けあうとか、感謝なんて言葉はケータイにかき消された、というわけ」と話し終えてタメ息をついた。ふと、私にしても、この「感謝」という言葉を理解するのに、何とはるかな時間がかかったことだろう、と思う。私の通った小さな幼稚園。そこではいつも田村先生がこう祈っておられた。

 「天のおとうさま、おかあさま。今日のミルクに感謝します。分けあえる喜びに感謝します」と。その言葉は、クリスマスを迎えるたびに、幾度も幾度も、こだまのように胸にひびき、そして、今ようやく「感謝」という言葉にたどりついた。「神様。今日の一日に感謝します」。

*神戸イルミナージュ2011
期間:2011年11月1日~2012年1月17日
時間:17:30~22:00
場所:神戸市立フルーツフラワーパーク
広大はフルーツフラワーパークが光りのオブジェで彩られている神戸イルミナージュ。
光の樹のクリスマスツリーや、光り輝く動物たちに子どもたちの歓声があがります。
入園料は、東日本大震災被災地支援「ひまわりプロジェクト」に送られます。



「もも家」のフードレシピ

クリスマスの豚肉ステーキ

図2 もうすぐクリスマス。子どもたちには、サンタさんからプレゼントが届くうれしい日です。もうひとつのお楽しみはクリスマスケーキ。神戸はスイーツの街。おいしい洋菓子店が目白押しです。「今年はどこのお店のケーキを予約する?」というのがママたちの話題です。そして、クリスマスディナー。今年はチキンの代わりに、大きな豚肉の塊をステーキ風に焼いてみました。トッピングはクリスマスカラーの赤、緑、白を赤のリンゴ、青ネギの緑、白い玉ねぎでつくりました。濃厚なソースにこのトッピングがさわやかなアクセントのステーキです。
 あら、「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴り、ケーキも届いたようです。
 では、急いでつくり始めましょう。とっても簡単ですから。

 材料(4人分)
・豚肉(モモかヘレ肉(ヒレ肉))450gのもの2個=約1Kg
  豚肉下味用の塩・コショー、赤ワイン(なければ日本酒)100cc
  ニンニク4個:皮をむき、2つ割にして芽をとって8片にしておく。

・付け合せのキノコ類
  しいたけ(大)10~12枚
  しめじ(大)1パック

・トッピングとして
  リンゴ 1個
  玉ねぎ 大1/2個
  青ネギ 3本

・トッピングのドレッシング
  レモン1/2個(果汁にして、なければ酢大2)
  サラダ油 大1
  塩・コショー

・豚肉のソース
  白みそ 大6(甘めのもの。なければ砂糖を少し加える)
  豆板醤 大1(好みにより加減)
  醤油 大2
  水 150cc

 作り方

図3①豚肉は、脂をそぎ取り、竹ぐしで数カ所、刺して味をしみ込みやすくし、塩(1Kgで大4)、コショー(大2)を振りかけよくもみ込み20~30分置く。
 その後、ビニール袋に赤ワイン(100cc)を入れ、豚肉をつけ込み、4~5時間置いておく
(冷蔵庫で1晩ねかせてもよい)。

②沸騰した湯にニンニク4切と①の豚肉を入れ、アクを取りながら20分、静かにゆでる。20分たったらそのまま湯の中で10分置いておく。

③ボールにソースの材料を全部混ぜておく。豆板醤は味加減しながら入れて下さい。

④キノコ類は石づきを取り、しいたけは1/4に切り、しめじは軽くほぐしておく。

⑤フライパンにサラダ油大1を入れ、ニンニク2片を入れ、火をつけ、サラダ油に香りを移す。
その後、強にして④のキノコ類を炒め、軽く、塩・コショー。よい香りがしてきたら、お皿に取り出しておく。

図4
⑥トッピングをつくっておく。
 玉ねぎはみじん切りにし、水にさらし、アク(辛味)をとり、キッチンペーパーでギュッと絞って水気をとる。リンゴは皮付きのまま7ミリ角に。青ネギは7ミリくらいの小口切り。全部あわせて、レモンの果汁、サラダ油、塩・コショーでマリネしておく。

⑦テフロンの深めのフライパンにサラダ油(大2)を入れ、ニンニク2片を入れ弱火でサラダ油ににんにくの香りを移し、ゆでた豚肉をころがしながら、表面に焼き色をつける。焼き色がついたら、合わせておいた白ミソのソースを一気に入れ、からませる。

⑧大皿にキノコのつけ合わせ、⑦の豚肉を盛り、⑥のトッピングに振りかける。フライパンに残ったソースは水を少し加えてゆるめ、薄く切りわけた豚肉ステーキにたっぷりかける。好みでレモンのくし形を添えて盛りつける。

 これでできあがり。白みそソースが豚肉によく合い、今までにない味わいのステーキ。大きな肉の塊はディナーにふさわしい華やかさです。
 それでは、silent night .Holly night.
よいイブの夜をおすごし下さい。

編集部より:大仁さんのフードレシピについては、このサイトで多数見ることができます。また、この記事の著作権は大仁浩子さんに帰属し、イラストの著作権は横江節子さんに帰属します。著作権の侵害にご注意ください。

〔もも家〕
TEL:078-391-2466
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 前川ビル2F
(三宮駅の北、徒歩5分)
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