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8/29~9/9 の12 日間、ロンドンでパラリンピック史上最大規模の熱戦が展開!!
開幕直前「第2回パラリンピック選手の競技環境調査」発表
―競争激化のなか、いっそうの競技環境向上に期待―

●社会的支援の仕組みも増えているが選手側の費用負担感は減っていない
●選手個人で約144 万円の平均年間費用負担(金額は推計値)
●選手自身に「プロのアスリート」としての意識の広がりがみられる
●各競技団体の組織基盤強化への要望が高まる
●85%以上の選手が2020 年東京オリンピック・パラリンピック招致に賛成
本調査の報告書(約50 ページ)は一般社団法人日本パラリンピアンズ協会(PAJ)のウェブサイト上で公開いたします(8/17 以降)

 一般社団法人日本パラリンピアンズ協会(略称PAJ 会長:河合純一)は、ロンドン2012パラリンピック競技大会(ロンドンパラリンピック)開幕を直前に控え、「第2回 パラリンピック選手の競技環境 その意識と実態調査」と題した調査を実施しました。

 調査は2012年6月13日~8月6日に、2012年ロンドンパラリンピック日本選手団代表選手およびコーチ・スタッフ、2010年バンクーバーパラリンピック日本選手団代表選手およびコーチ・スタッフを対象に行い、合計232名(夏季選手110、冬季選手26、夏季コーチ・スタッフ70、冬季コーチ・スタッフ26)から回答を得ました。

 前回2008年の北京パラリンピック競技大会の直前には152名の選手を対象に調査を行いましたが、世界的にパラリンピックの競技レベルが向上し、競争が熾烈を極めるなか、今回はより本格的に競技環境上の課題を分析するため、コーチ・スタッフの視点も加えて調査を行いました。

 PAJとしては、今回の調査結果を多くの皆様にお伝えすることで、今まで以上にパラリンピックへの関心が高まり、パラリンピック選手ならびにパラリンピックを目指す選手への応援と理解に結びつくことを期待しています。
 なお、本調査は「中央大学保健体育研究所保健体育科学共同研究費」を得て実施しています。

■「パラリンピック選手の競技環境 その意識と実態調査」調査概要

1.練習はよりハードに。「週に3~5日」(48.5%)「ほぼ毎日」(33.0%)で8割以上

・「普段どれくらい練習しているか」について聞いたところ、33%が「ほぼ毎日」、約5割が「週に3~5日」の練習量で、多くの選手が仕事との両立をしていることから考えると、かなりのハードスケジュールといえます。
・前回調査時よりも選手が練習に費やす時間が増えていることがうかがえます。なお、前回は男女での差が見られたものの、今回、男女差はほとんどありませんでした。

2.練習拠点は多様化。従来中核であった「障害者スポーツセンター」に加え、「一般の公共施設」と「民間スポーツクラブ」も練習拠点に

・前回調査では「障害者スポーツセンター」「障害者スポーツセンター以外の公共施設」の回答が大勢でしたが、「民間スポーツクラブ」の役割も高まっています。
・技術練習でバンクーバー出場選手による民間スポーツクラブの回答が突出していますが、これはスキー場やスケートリンクなど、冬季種目の特性によるものです。コンディショニングトレーニングでは「自宅」の回答も多くなっています。
・「その他」のなかでは、練習が可能な場所である「公道(ロード)」を5名が、「公園」や「土手」を3名が記載していました。

3.一人あたり年間平均140万円を超える自己負担(推計値)
6割超の選手が年間100万円以上

・競技のために個人負担した年間費用の合計では「50~100万円」が最も多く(32.6%)、次に「100~150万円未満」が17.0%でした。「150万円以上」とした人が全体の約3割近く、なかでも「250万円以上」とした選手が16人(11.9%)いました。
・推計では平均で年間144万円程度の負担となっています。
・「500万円」とした選手がロンドン大会で4人、バンクーバーで2人、計6人(4.4%)いました。バンクーバー大会は、「50~100万円未満」、また「250万円以上」とした選手が共に32%を占めており、個人負担額に差が認められました。
・「夏季(ロンドン)」と「冬季(バンクーバー)」の平均額では、冬季が206.3万円に対し、夏季が129.6万円と、70万円以上の差が出ています。

4.パラリンピック出場権獲得のため、およそ9人に1人が80日超の年間遠征

・パラリンピックの出場権を獲得するための海外遠征の全日数(ロンドン大会:2010年~2012年6月、バンクーバー大会:2008年~2010年3月の2年間を対象)について聞きました。回答は2年間のうち遠征回数が多かった年の日数です。
・29日未満が約7割を占める一方で、遠征日数が80日を超える選手が15名(11.7%)います。内訳はロンドン7名、バンクーバー8名です。
・ロンドン大会に出場権を得た選手で遠征日数が100日を超えた選手5名のうち4名が車いすテニス、1名が馬術でした。バンクーバー大会ではアルペンスキーが3名、1名がクロスカントリーであり、特定の種目に偏っている傾向も見られました。

5.専任(パーソナル)コーチを付ける選手が増加

・前回調査では、「専任コーチがいない」(55.3%)が「専任コーチがいる」(44.7%)を上回っていましたが、今回は、「専任コーチがいる」(54.5%)が多数となりました。

6.9割以上の選手からナショナルトレーニングセンター(NTC)や国立スポーツ科学センター(JISS)の利用を望む声

・91%以上の選手が「パラリンピック選手が利用できるナショナルトレーニングセンター(NTC)」および「パラリンピック選手が利用できる国立スポーツ科学センター」を望むとそれぞれ回答しています。
・「NTCに行ったことがない」と答えた方が全体の75.6%でした。「JISSに行ったことがない」と答えた方は80%超となっています。

7.競技を継続するうえでの課題は「資金がない」「練習場所がない」「指導者がいない」。セカンドキャリアへの不安の声も少なくない

・回答の多い順に「費用がかかる」(64.0%)「練習場所がない」(33.0%)、「コーチ、指導者の不足」(27.9%)、「仕事に支障が出る」(27.9%)となりました。セカンドキャリアに関する問題提起として掲げた「安定した生活/将来への不安」も27.2%と高い数値となりました。
・前回調査でも1位は「費用がかかる」(82.9%)、2位は「練習場所がない」(42.8%)、3位は「仕事に支障が出る」(38.8%)、次いで「練習場所に通うのが大変」(35.5%)、「競技の時などに休みが取りにくい」(31.6%)であったことから、パラリンピック選手は、競技活動を行なうにあたり、「競技活動を遂行するにかかる費用」「練習場所の確保」「仕事への支障」に対し依然として大きな課題だと感じていることがわかりました。
・後述するコーチ・スタッフ対象の調査項目(項目12)においても、「費用がかかる」「自分以外のサポートスタッフの確保」「職場の理解」「練習場所の確保」が上位に挙げられていました。「コーチ・スタッフの確保」という点で言えば、現在のコーチ・スタッフも 自分以外の人材を探していることが伺えます。

8.2割の選手が「プロとしての自負」を持つ

・20.9%の選手が自身を「プロのスポーツ選手だと思う」と回答しています。これは、生活のなかでスポーツの優先順位が最も高い選手が2割もいるということであり、競技環境の向上次第ではさらにプロ意識が広がっていく可能性も少なくありません。

9.オリンピック選手との違いは「競技団体の組織力」「一般の関心」

・「競技団体の組織力や経済力」「一般の人の関心」は半数以上の選手が違いとして挙げました。

10.8割を超える選手が2020年東京オリンピック・パラリンピック招致に賛成

・85.1%の選手が「とても賛成」「賛成」と回答しました。
・招致活動に「とても賛成」、または「賛成」と答えた選手に、日本にパラリンピックを招致する意義について聞きました。「パラリンピックに対する関心を高める良い機会となる」(78.2%)が最も多く、次いで「障害者スポーツ全体の活性化になる」(75.6%)、「パラリンピック選手の競技環境が良くなると期待できる」(71.4%)でした。

■障害者の競技スポーツの発展のために重要なことは何か【課題・要望】<自由回答>

・JOCとの連携、オリンピック競技団体との連携強化(アイススレッジホッケー)
・英語力の強化(試合中における申し出は、全て英語が中心になるため)(アルペンスキー)
・選手の発掘がしやすい環境整備(アイススレッジホッケー)
・競技人口を増やすため全国各地での体験会などの事業、全国各地へ競技指導者の配置、ジュニア育成プログラム(アイススレッジホッケー)
・企業には年休及び特休取得についての理解をしてほしい。休みやすくして、競技に集中したい。企業へよびかけてほしい。国からもっと支援があるといい(アイススレッジホッケー)
・サポート企業を紹介してほしい(パワーリフティング)
・スタッフ、コーチの人材育成、障害者スポーツセンターではなく、各競技の専門的な人材(陸上競技)
・NTCを利用できるようにしてほしい(陸上競技)
・海外の監督を呼べる資金(ウィルチェアーラグビー)
・企業との連携、スポンサー獲得活動の活発化(水泳)
・国際大会に出るための健康診断に関する負担をどうにかしてほしい(陸上競技)
・次の世代の選手育成の環境の充実(ゴールボール)
・パラリンピックも各競技のテレビ中継をダイジェストではなく一試合すべて放送して欲しい
・障害者のスポーツは特別な道具(車椅子、義足など)を必要とする競技。選手が負担している費用を助成金などで軽減してほしい(アルペンスキー)
・先ず私たち障害者が「障害者だから…」という甘えや「やってもらって当たり前」という考えから脱却し、1人のアスリートとして行動していくことが大事だと考えている。健常者とは、母体数(競争率)が異なるという前提がある中で、日本のスポーツ界の発展に貢献していく、という姿勢が今後更に必要だと感じる(アルペンスキー)
・スポーツ庁設置による一元的なスポーツ振興施策(アルペンスキー)
・障害者スポーツの特性を理解した上での競技ごとの動作分析、効率的なフィジカルトレーニングと有望選手の発掘(アイススレッジホッケー)
・2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されれば、必ず一般の人も見に来てくれる。多くの人にまずは見てもらうことが必要(車椅子バスケットボール)
・障害者スポーツはプロでやっていける環境ではない。仕事も普通にしなければやっていけない気がする。競技を続けるには様々な人の理解が必要(車椅子バスケットボール)

<以降はコーチ・スタッフ対象の調査項目>

11.コーチ・スタッフが選手の競技活動を支える経済基盤は「(自身の)給料」

・突出して多い回答は「給料(自営含む)」で86の回答がありました。この設問は2項目まで選択が可能でしたが、バンクーバー大会のコーチ・スタッフ26人中「給料(自営含む)」のみを回答した人は半数の13人、ロンドン大会では45人でした。コーチ・スタッフは自身の給料で活動費を賄っているのではないかと推測できます。

12.選手を継続的に支援するうえでの課題認識は、ほぼ選手の認識と共通
   「資金がない」「サポートスタッフ不足」「職場の理解」と続く

・約6割が「費用がかかる」と答えました。次いで「自分以外に練習をサポートする人の確保」(43.8%)、「職場の理解」(32.3%)、「練習場所の確保」(32.3%)でした。
・パラリンピック選手が競技活動を行なう上で負担に感じる上位項目も、「費用がかかる」「練習場所がない」「コーチ、指導者の不足」「仕事に支障が出る」であり、選手とコーチ・スタッフの課題認識がほぼ同じであることが明らかとなりました。
・「その他」には、「連盟を運営する上での施設とその管理・運営の為の費用」、「チームの命令系統が良く分からない」「翻訳、調整案件の多さ」「競技に特化した情報の少なさ」「オリンピックとは異なる待遇」といったものも挙げられていました。 

13.オリンピック選手との違いは「競技団体の組織力」「競技環境」「一般の関心」

・56.3%の人が「競技団体の組織力・経済力」を挙げ、次いで「競技環境」(47.5%)、「一般の関心」(41.3%)、「スポンサー」(28.8%)、「マスコミの扱い」(20.0%)でした。
・前項にも掲載していますが、選手もコーチ・スタッフ同様に「競技団体の組織力や経済力」と「一般の人の関心」を一番に挙げ、次いで「競技環境」「マスコミの扱い」「スポンサー」と、上位5位には順位の違いこそあれ、同じ項目がランクインしていました。

■競技スポーツの発展のために重要なことは何か【課題・要望】<自由回答>

・競技団体が法人格を有し、専従職員をかかえ、より適切な団体運営を行なうこと。別に仕事を抱えるなかで、一部のスタッフが健常者の団体と同様の事を要求され、こたえていくのは不可能。そこが整備されなければ、法が整備されようが、お金がいくらつこうが意味を成さないと思う。(水泳)
・強化合宿などの運営に関わるスタッフの増員を希望。限られたスタッフで合宿、遠征、収支報告などを行なうには限界がある(自転車)
・実業団あがりのスタッフは重要だと感じているが、選手が指導を受けられる機会が少ないとも思う。選手もスタッフもほとんどが企業に所属しており、遠征や試合等の調整が難しい。国をあげて、こうした問題への改善をしてほしい。(陸上競技)
・強化費だけがついても、競技団体の多くは任意団体であり、それを支えるスタッフの大半はボランティアであるので、適切な執行処理のためにさくことのできる労力は限られている。強化費を増額していただけているのはありがたいが、堅固な組織体制を構築するための支援も視野に入れてほしい(水泳)
・関わっている競技のみを行って生活ができる訳ではないので、生活のために働きながら競技に必要な準備などを行うには時間も費用も不足している。スタッフの人数も少なく非常に厳しい(自転車)
・競技スポーツということを考えればお金が必要(陸上競技)
・周囲の理解度。障害者を避けている様に思われる。改善したい(陸上競技)
・各スポーツの通訳者、翻訳者の後継者を見つける事が困難な状況で、競技の国際化に伴い、英語での情報量が大幅に増加している事に業務が追いつかないこと(自転車)
・競技団体の組織マネジメント力向上(車椅子バスケットボール)
・世の中のスポーツに対する理解。特に障害者スポーツ理解。まずは国、行政からできていない(柔道)
・障害とスポーツ両面の専門知識がある指導者が増えていけば良いと思う(陸上競技)
・公共施設では個人で利用する場合減免を受け入れるが団体となると受けられないので費用が掛かり練習回数も減ってしまう(水泳)
・障害者スポーツのすそ野を広げる。特別支援学校の教員への啓もう。授業などで実践し、地域の大会に出場するきっかけ作りをするなど、障害者の生涯スポーツを推進していくなかで、発展の可能性が高まると思う(ボッチャ)
・安定した雇用と職場の理解(アイススレッジホッケー)
・選手の意識面での件、アスリートとしての意識を持ち、「障害者」という処に逃げ込まないこと、その見返りとして成績上位者には健常者と変わらない経済的支援を付けてあげたい(アルペンスキー)
・障害のある子どもを持つ親への情報提供(アルペンスキー)
・オリンピック選手同様の強化支援策が必要(陸上競技)

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<調査の概要>


調査目的:日本のパラリンピック選手が置かれている状況や課題を整理し、競技環境の改善のための活動に資する基礎資料を得ることを目的とする。また、本調査は、「パラリンピック選手の競技環境 その意識と実態調査」の第二段となる。2008年に実施した第1回調査との比較により、この4年間で選手の競技環境がどれだけ変化したのかについても着目する。さらに、第1回では実施していないパラリンピック日本選手団のコーチ・スタッフに対しても調査を実施しており、より広くパラリンピック選手の競技環境について考察する。

調査方法:公益財団法人日本障害者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)を通じて、調査票を配布。本人の記入後、郵送で回収
※一部、FAX,インターネットのメールでの送付回収、または日本選手団結団式会場で回収

調査期間 :2012 年6月13日~8月6日

調査機関 :主催  一般社団法人日本パラリンピアンズ協会(PAJ)
        共催  公益財団法人日本障害者スポーツ協会日本パラリンピック委員会
        調査担当  田中暢子(中央大学保健体育研究所客員研究員)

研究助成 :中央大学保健体育研究所保健体育科学共同研究費

調査対象 :(選手)
        2012年ロンドンパラリンピック日本選手団代表選手
        2010年バンクーバーパラリンピック日本選手団代表選手

        (コーチ・スタッフ)
        2012年ロンドンパラリンピック日本選手団コーチ・スタッフ
        2010年バンクーバーパラリンピック日本選手団コーチ・スタッフ

回収率   :選手 77.3% / コーチ・スタッフ 72.7% / 合計 75.3%

<一般社団法人日本パラリンピアンズ協会(PAJ)について>

名称  :一般社団法人日本パラリンピアンズ協会
(PAJ  :Paralympians Association of Japan)
活動  :パラリンピックに出場した経験を持つ選手たち(=パラリンピアンズ)の有志が設立した選手会で、選手間の情報交換やパラリンピック関連情報の選手へのフィードバックなどを実施
設立  :2003年7月
会員数 :152名
所在地 :〒145-0073  東京都品川区上大崎3-5-1  YKビル2階 しょうの治療院 内 
役員  :※出場大会はいずれも直近の大会のみ表示
  顧問   橋本聖子(参議院議員 パラリンピック推進議員連盟事務局長)
  会長   河合純一(ロンドンパラリンピック 水泳)
  副会長  大日方邦子(バンクーバーパラリンピック アルペンスキー)
        根木慎志(シドニーパラリンピック 車椅子バスケットボール)
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