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内視鏡手術中、鉗子を透明化する可視化技術を開発
小児外科手術での負担軽減に期待
──早稲田大学理工・藤江研究室


_prw_PI2ic_YysJZ6DD.jpg 早稲田大学理工学術院の藤江正克教授、小林洋研究員准教授らは、九州大学先端医工学診療部、九州大学病院小児科と共同で、内視鏡手術の際に鉗子の死角となる領域を可視化する技術を開発しました。

 開発した技術は、手術中に内視鏡カメラとは別のもう1台のカメラを挿入し、鉗子の下側から術部を撮影することで、その映像を上側の内視鏡カメラで撮影したかのように補正して鉗子に投影し、鉗子部分がまるで透けたようになり、隠れていた術部が見えるようになるものです。

 これまでの内視鏡手術では、手術器具自体により手元が見づらくなることで手術の難易度が上がってしまう問題がありました。今回の開発は、製品化されている内視鏡や器具等をそのまま利用できるため、早期の実用化が可能です。特に小児外科手術のように、非常に狭小な空間で手術を実施する際にその利用が見込まれます。

■内視鏡下手術の問題点
_prw_PI1tn_85Hd5vzG.jpg 近年、外科治療の低侵襲化の期待を受け、各外科領域において内視鏡下手術の普及が進んでいます。従来の開腹手術に比べ、内視鏡下手術は患者への侵襲が小さく、早期回復が可能であるという利点を有しています。一方、合併症発生率が高い手技も依然多く存在します。

 その理由として、操作空間および視野の狭さにより手術器具によって術野が大きく遮蔽されることが原因とされています(右写真参照)。

視野の欠損は縫合等の治療動作を困難にし、観察できない領域における組織の損傷に起因する合併症を引き起こす危険性があります。

■術具を疑似的に透明化する手法を提案
 本研究では、図に示すように、画像処理により遮蔽領域の画像を手術器具に重畳することで、手術器具が透明になったかのような拡張現実感を実現する視覚補償をコンセプトにシステムの開発を行いました。

 手術器具による術野の遮蔽を解決するために、画像合成による術具の疑似的に透明化する手法を提案しました。

 提案手法では、従来からある医師の視野となる内視鏡に加えて、術具の下側から遮蔽領域を撮影する補償用の立体内視鏡を使用します。

 補償用の内視鏡で計測した形状をもとに同内視鏡で撮影した画像を変形することで、医師の視野となる内視鏡内で遮蔽されている領域を再現します。再現画像を術具が投影されている領域に重畳することで、術具が透明化したような拡張現実感を実現しました。

■今回の研究で得られた結果及び知見
 術具提示の具体的な方法とプロトタイプ開発、開発したプロトタイプの工学的な評価、トレーニング環境下による医師を対象とした試験、動物試験による定性的評価を実施し、本研究で開発したシステムが縫合の際の刺入精度向上へ有用であるとの知見を得ています。

■早期の実用化が可能
 製品化されている内視鏡や器具等をそのまま利用できるため、早期の実用化が可能であると考えています。今後、パートナーとなる企業を見つけ、早期実用化を目指します。本研究では、内視鏡手術への適用を考え、システム構築、システムの評価を実施してきました。

 一方、非常に狭小な空間で手術を実施する手術においても利用が見込まれます。そのような手術の一例として、小児外科手術が挙げられます。

■今後の課題
 手術中に故障しないような頑強なシステムとすること、手術中の照明条件などに作用されない頑強なシステムとすることなどが今後の課題として挙げられます。

■リンク
リリース本文
Fujie Lab: 早稲田大学 医療福祉工学研究室 藤江研究室

問い合わせ/早稲田大学 広報室広報課(担当:小泉)
TEL:03-3202-5454
E-mail:koho@list.waseda.jp
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