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8月のお盆に「もも家」さんに行ったとき出していただいたのが、この「スポンジーフライ」。「中は何かわかります?」と聞かれたが、誰もわからなかった。でも、おいしい。中身はあとでわかります。

イルカに乗った少年 (文・料理/大仁浩子・もも家店主)

イルカ 三宮の古いバー。「イルカに乗った少年」の曲が流れていた。

♪~There’s a tale that they tell of a dolphin and a boy made of gold~♪

―それは、イルカと少年が黄金で造られていた、という物語なのよ―と、ジュリー・ロンドンが歌っていた。

「この曲は、たしか映画のテーマソングでしたね」と、カウンターの奥に声をかけた。店と共に老いたマスターが麻布でグラスを拭く手をとめて「その映画は“島の女”。海綿採りの海女がイルカに乗った少年の黄金像を発見するという話。海女の役がソフィア・ローレン。あぁ、全く。その時の水に濡れた彼女のボディの美しさといったら……」とため息をついた。

「海綿は海草ではなく、脊椎動物の一種。そして、あの網目状の海綿質繊維がスポンジになるんだ。海綿は英語でsponge。海からの贈り物だよ」と教えてくれたのが、隣の椅子に坐っていた、シュウだった。

 静かにシュウは話し続けた。海に射す光と色について。花より美しい魚類の美しさについて。白い海底に刻まれる波の砂紋について。

 夏になって、ウナギの話を聞いた。ウナギは遠く離れた南の海、フィリピン沖のマリアナ海溝の深海で生まれるという。稚魚はレプトケファレス。透明で柳の葉の形をしている。泳げない。波にまかせて1年、日本に辿り着く。孤独な3千kmのウナギの旅について。なぜ、旅をするかについて。

 秋が来ていた。シュウは、魚の脳と神経について、研究していると言った。魚はどのように痛みを感じているか、とか、そんなこと。すばらしく専門的だった。「それをまとめる時期にきているんだ」と言った。「一緒に行けるといいんだけれど……」とも。

 けれど私は尋ねなかった。「何処へ?」と。

 それから3回、秋が来た。そして、そのバーで再び、あのジュリー・ロンドンのイルカに乗った少年の歌を聞いた。マスターがソフィア・ローレンは僕のミューズだったとうっとりして言った。いつものようにグラスを拭きながら。「そうだ、イルカのショーを見に行きませんか」。突然、声をかけてきたのが、ケンタだった。「イルカは可愛いよ。ハイジャンプ、ハイタッチ。遊び好きでかなりの芸達者らしい。きっとハマるよ」。

 そうして、しばらくして、私はケンタと暮らしはじめた。話は簡単だった。ケンタは魚の仕組みより、食べ方を愛していたから。

「オレの一番の好物は鯖の味噌煮。それから鯖寿司。バースデイには、それにローソクを立てて欲しいよ。山陰のイカや松葉ガニもウマイよなあ。よし、今度は日本海の漁港巡りだ」。ケンタの頭のなかにはもう日本海の刺身が並んでいるようだった。

 それから……息子が生まれた。ケンタにそっくりの。水族館の大水槽のガラスに小さな額をくっつけて飽きずに魚を追っている。

「パパァ、オチャチミ、オチャカナ」と指差して言う。「その魚は刺身では食えないなあ。サメは無理だろう」。二人の前を目を半眼にした灰色のサメが泳いでいった。二人は目を合わせて可笑しそうに笑った。

 なぜかシュウと水族館に行ったことがない。シュウに会うのは深い海の底のような、そのバー。古いレコードが回り、夢の中で夢を見ているように、魚の話を聞いた。

 もし、あの時、と時々考えてみる。シュウと一緒に行っていたなら、と。そうすれば、今でもずっと海の底でおきる不思議な話をして暮らしているだろうか。

 月も星も寝静まった深い夜。電気を消した暗い湯船にそっと潜るのが好き。そして、海綿で石ケンの泡をたっぷりつくることも。その時、「イルカに乗った少年」のメロディーを低く口ずさむことも。それは全部、シュウが私に残していったこと。

*神戸市立須磨海浜水族園:JR神戸線、須磨海浜公園駅下車。南へ徒歩5分。たくさんの魚とイルカ達の素敵なショーがむかえてくれる。園を抜けると、すぐに須磨の砂浜が広がる。



「もも家」のフードレシピ

■スポンジー(spongy)フライ 

写真1 ある日、店に予約がありました。
 ベジタリアンのフランス人と一緒に食事に行きますので、よろしく、と。

 その時の豆腐料理のメニューのひとつが、この高野豆腐を揚げたもの。

 一口食べた、そのフランス人が、「Spongy!(海綿のよう!)」と叫んだのが、この料理の名前。

 不思議な食感をどうぞ。(イラスト/横江節子・神戸市垂水区在住)



jumee☆recipe1Ljumee☆recipe1R 材料(2人分)
・乾燥高野豆腐  3個
・つけ合わせの夏野菜(適量で)
  トウモロコシ、トマト、オクラ、キャベツ。
  つけ合わせの秋の果物、ナシ1個(半分はソースに使います)。
・豚ロース。しょうが焼用、大きめのもの6枚
・フライの衣。市販の空揚げ粉、小麦粉、片栗粉

jumee☆cooking1Ljumee☆cooking1R  作り方
写真2 乾燥された高野豆腐は加工技術が進み、とても簡単に料理できるようになりました。

 以下の手順で失敗なく、おいしく調理できます。今回は、旭松というメーカーのものを使いました。

①直径20cmくらいの底が平らな鍋を用意。
濃いカツオだし、500cc(21/2カップ)を作り、砂糖・大3、薄口醤油・大1、塩・小1/2を入れ、沸騰させます。そのなかに高野豆腐を入れ、煮汁を入れると、すぐに戻りますので、天地をひっくり返し、軽い落とし蓋(アルミ箔でも可)をして10分煮ます。冷めたら、取り出して、半分に切り、しっとりと煮汁を含んでいるくらい絞ります。写真3
②豚ロース、しょうが焼用は筋切りして、軽く塩こしょう。

③①の高野豆腐に、②の肉を巻きつけます。巻き終わりは手で押さえてなじませます。

④③の衣は2種類作ります。それに合わせてソースも2種類で。お好みでお召し上がり下さい。



その1:ナシのソース写真4
ナシ半個をすりおろし、ニンニクのおろしたもの小1/2を加え、濃口醤油70ccを入れて、塩、こしょうで味をととのえます。この時衣は、薄力粉、片栗粉を1:1に合わせて、まんべんなくまぶして、油で揚げます。

その2:市販のトンカツソースで市販のトンカツソースにケチャップ少々を混ぜてソースを作ります。味はお好みで。この時衣は、薄力粉、片栗粉、市販の空揚粉を1:1:1に合わせて使います。揚げ油は中温よりやや高めくらいで。

⑤つけ合わせの野菜を作ります。
トウモロコシは皮1枚を残して、皮をむき、塩を少々入れ、茹でます。約15分。茹で上がったら、皮つきのまま、さまします。皮があるので、しっとり状態が続きます。輪切りにカットします。
オクラは、軸の部分が固いので、細く削ぎとり、塩もみして、熱湯でさっと茹でます。
トマトは、くし形にカット。写真5キャベツ(2~3枚)はなるべく細く千切りし、水に放ってパリッとさせます。ザルにあげて水切り。ソースに使った残りのナシをサイコロ状に5mm角に切り、塩・小1、砂糖・小1、酢・小2で下味をつけキャベツと合わせてなじませておきます。

⑥お皿につけ合わせの野菜をたっぷり盛り、2種類の好みのソースを添えます。盛り付ける時、スポンジーフライにはかくし包丁を入れて、食べやすくしておきます。もちろん、ベジタリアンの方には、スポンジーフライだけにしておき、お肉は巻きつけませんでした。材料の種あかしをしなければ、何のフライか、わからないようです。高野豆腐は良質の大豆たんぱくで安価。ぜひ、おためし下さいますよう。


編集部より:大仁さんのフードレシピについては、このサイトで多数見ることができます。また、この記事の著作権は大仁浩子さんに帰属し、イラストの著作権は横江節子さんに帰属します。著作権の侵害にご注意ください。

〔もも家〕
TEL:078-391-2466
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 前川ビル2F
(三宮駅の北、徒歩5分)
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