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カッて兜の・・・

久米先生顔イラスト ブログ 先週の日曜日、私が住む市原市で「第13回いちはら生涯スポ・レクまつり」が開催されました。

 場所は市原中央武道館。ここには、体育館、トレーニング場、弓道場、そして屋外に土俵があります。そして、毎年ここで「ちびっこ相撲大会」が開かれるのです。当日は、私も救護班の担当委員として、学生2名を連れて相撲大会に参加してきました。

 参加者は、市内の小学生1~6年生の男女です。参加者は全員、体育着の上から腰に“晒し”を巻いて“まわし”代わりにするのですが、1、2年生は、まさに“ちびっこ”の名にふさわしい可愛さです。しかし、5,6年生ともなると“ちびっこ”とはとても言えない立派な体格をしたお子さんもいたりして、見ているだけでも圧倒されます。

 取り組みは、学年毎のトーナメント方式で、優勝者を決めていきます。最初は1年生です。男女は関係ありません。低学年だから、勝負が簡単につくかというと、とんでもない。みんな土俵際で粘って、残って、投げの打ち合いです。「ノコッタ、ノコッタ」の行司の掛け声に合わせて、持てる力を振り絞って戦います。中には“水入り”なんて大取り組みもあるんです。それでも、そんな彼らの必死の形相をみていると、スポーツってやっぱりいいなぁ、と思ってしまします。だって、真剣に相撲と取っている彼らの顔には、ウソはありません。そこが、スポーツの魅力です。

スポーツにカツ25 001

 この相撲大会のもうひとつの魅力は、ご父母、友達や引率の先生方の応援です。参加形態が小学校毎に申し込むようになっているので、さながら学校対抗戦のような雰囲気になります。ですから、自分の学校の生徒が土俵に上がると、先生方も声を張り上げての応援です。もちろん、ご両親はそれ以上。

 昨年のことですが、私のところにテーピングを頼みにきたお母さんは「(痛いと言っている)息子はまだ試合がありますから、足をぐるぐる巻きにして、出れるようにしてやって下さい!」と真剣な表情で懇願してきました。

 学年が進むと、取り組みの迫力は格段と上がります。土俵際の攻防も、手に汗握るものが増えてきて、微妙な判定を強いられる場面も少なくありません。それだけに、低学年の時とは違って、ケガで救護班に駆け込んでくる子どもたちの数も増えるのです。

 私たちの仕事が、いよいよ忙しくなってきた頃、6年生の準決勝戦を迎えました。対戦相手の一人は、昨年5年生でチャンピオンになった生徒です。体格はガッチリした“本格派”です。

 昨年は、誰も彼の正攻法の“押し”を止められる者はいませんでした。2連覇なるか!? 行事の軍配があがり、取り組みが始まりました。予想通り、彼は脇をがっちり固めて、真っ直ぐの押しです。そして、そのまま土俵下へ相手とともに落ちました。「やっぱり、強い」と思った瞬間、彼が土俵下から立ち上がってきません。ここで、救護班の出番です。かれは、右ひざを抱えていました。どうやら、土俵から落ちた時に痛めたようです。彼の顔が苦痛で歪んでいます。次は、もう決勝です。2連覇がかかっています。「アイシング!」と私は学生に指示しました。審判団の方からは「時間だが、できるか?」と問い合わせが来ています。「現在、アイシング中なので、少し待ってほしい」と私は訴えました。少しの時間が過ぎた頃、彼はわれわれに言いました。

「兜の緒を締め直して、がんばります。もう大丈夫です。ありがとうございました」

 彼は、土俵に戻って行きました。

 「勝って兜の緒を締めよ」。戦国時代に、武将が自軍の弛みを諌めようとして用いられたと言われるこの言葉が、彼の2連覇を後押ししたことは、言うまでもありません。秋空の下、またひとりのヒーローが誕生しました。


久米秀作・帝京平成大学 (日本体育協会公認アスレティックトレーナー)

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